経理代行はどこに依頼する?公認会計士・税理士・経理代行の違いとは
経理にかかる業務は、企業や個人事業主にとって負担になりがちな業務の一つです。自社で対応することもできなくはないですが、専門知識が必要であるため、公認会計士や税理士、経理代行といった経理を専門としているところに依頼するのが一般的です。そこで本記事では、経理を外注するときに外注先ごとの違いを解説します。
公認会計士に依頼するメリット・デメリット
公認会計士事務所は税理士事務所と比べて数が少ないことから、あまり馴染みがない方が多いかもしれません。
しかし、公認会計士は税理士の資格も持っている場合が一般的であり、税理士事務所と同様に節税対策を行ってもらえる点は共通しています。そのため、公認会計士事務所と税理士事務所に経理代行を依頼すると、基本的に依頼できる内容や対応にはあまり差がないといえるでしょう。
ただし、公認会計士は会計のプロであるため、大企業や上場会社の会計業務も取り扱うことができる点が特徴です。したがって、将来的に「上場も視野に入れたい」「企業買収(M&A)や事業売却にも興味がある」といったニーズがある場合は、公認会計士事務所に依頼するのがおすすめです。
このように、会計のプロから経理サポートを受けられるため、上場や企業買収の予定があるならメリットがありますが、経理代行や税理士に比べて費用が高めであることがある点が懸念点です。経理代行の範囲やニーズに応じて、公認会計士に依頼するとよいでしょう。
税理士に依頼するメリット・デメリット
税理士事務所に経理代行を依頼する方法もあります。税理士は税務のプロであり、経理代行と同時に節税対策も考えてくれるのが特徴です。また、税理士事務所なら、税務申告もまとめて依頼できる点も、経理代行サービスにはないメリットといえるでしょう。
経理代行業者は、経理業務だけを専門としているため、税理士と提携していない限り税務申告業務の依頼はできません。税理士事務所に依頼することで、経理業務と税務申告を一括して任せられるため、複数の代行業者を探さなくて良い点は魅力といえます。
さらに、 税理士事務所は、記帳代行のみの依頼も可能です。記帳代行とは、帳簿作成業務を代行するサービスのことを指します。このように、依頼したい範囲を柔軟に選べて、必要なときは税務申告まで依頼できるのがメリットです。
ただし、現状では、クラウド会計を取り扱っていない税理士事務所もあるため、記帳代行(経理代行)の場合には、レシート等の郵送や毎月の訪問といった手間やコストがかさむ場合があります。クラウド会計を重視するなら、依頼先の税理士事務所がどのようなサービスに対応しているか確認しておきましょう。
経理代行に依頼するメリット・デメリット
経理代行業者は、企業や個人事業主などの顧客に対して、経理業務を代行して行う専門の会社を指します。
経理代行業者は、顧客から提供された取引や会計情報を元に帳簿を作成し、仕訳処理や仕分け、仕訳帳・総勘定元帳の管理、決算書の作成などの経理業務を代行します。記帳代行はもちろん、給与計算や決算報告などにも対応しているところがあり、経理にかかるさまざまな業務を委託できます。
そして、経理代行業者は低コストで幅広い業務に対応できることが最大のメリットです。経理代行を専門としている分、代行料金を安く抑えられるのです。一時的な利用も可能であるため、従業員数の多い企業や繁忙期だけ利用したい企業に適しています。
また、経理代行会社は多くの企業の経理を代行してきた経験と知識を持っています。そのため、膨大な量の業務でも迅速で正確な処理が期待できます。
ただし、経理代行業者に委託してしまうと、社内にノウハウを蓄積できない経理業務のノウハウを社内に蓄積できないというデメリットが発生します。これは税理士や公認会計士に依頼する場合も同じですが、自社の経理を自社で管理できなくなる可能性がある点には注意しなければなりません。
また、経理代行業者は経理のプロですが、会計や税務のプロではありません。そのため、企業買収や節税対策などの相談には対応していないのが一般的です。節税対策や企業買収についてプロの意見を聞きたいときは、提携先を紹介してもらったり、自社で税理士や公認会計士を探したりする必要があります。
まとめ
経理代行を依頼する際には、公認会計士、税理士、専門の経理代行会社が選択肢となります。公認会計士は経理代行に対応していることに加え、会計のプロとして大企業や上場企業向けの業務も対応可能ですが、料金が高い傾向にあります。
税理士は税務のプロであり、記帳代行に加えて税務申告も依頼できる利便性があるものの、経理代行会社に比べると費用が高いでしょう。そして、経理代行業者は経理代行に特化している分、低コストで幅広い業務に対応できることが特長です。
効率的で正確な経理業務が期待できますが、節税対策や企業買収などの相談には対応していません。自社のニーズに合う最適な経理代行業者を探すようにしましょう。