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電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?仕組みや利用方法を解説

公開日:2023/01/15  


2022年の電子帳簿保存法の改正によって、タイムスタンプの要件が緩和されました。これにより経理の業務効率化やペーパーレス化が促進されることが期待されるでしょう。といっても重要書類を電子データで保存するためには大切なものには変わりありません。そこで今回は、ぜひ押さえておきたいタイムスタンプの仕組みや利用方法について解説します。

タイムスタンプとは

タイムスタンプは、一言でいえば「その書類が本物の原本であることの証明」です。手紙を送るときに押印される消印をイメージしてみてください。消印があることで、この手紙がいつ投函されたかが分かりますね。

それと同じで、タイムスタンプが付与されるといつ頃作成された文書なのか、付与後に文書の変更が行われていないかという証明になるのです。従来の紙の書類なら、紙質の劣化具合や筆跡の違い、修正の形跡などで改ざんされたかどうかが分かりました。ところが電子データで保存すると、誰でも文書の修正ができてしまうという難点があるのです。それどころか電子データは何年たっても劣化せず、簡単に上書きできてしまうので、誰がいつ修正をくわえたのか分からなくなるということも起こるでしょう。

そんなときに頼りになるのがタイムスタンプです。タイムスタンプは、第三者機関である時刻認証業務認定事業者(以下、TSA)が発行している、郵便でいえば消印のようなもの。タイムスタンプが付与された文書は、もしそれ以降に複製や改ざんされたとしても、すぐに発覚できるという利点があるのです。

タイムスタンプの仕組み

ここではタイムスタンプの仕組みについて解説します。

要求

まず、原本にしたいデータにハッシュ値を付けます。ハッシュ値とは、ハッシュ関数と呼ばれる計算式で求められた値のことです。桁の長さは固定で決められています。利用者はそのハッシュ値をTSAに送付し、タイムスタンプの発行を要求します。TSAに送付するのはハッシュ値のみで、データを送付する必要はありません。そのため大事なデータが流出する心配はないので安心してください。

付与

ハッシュ値を受け取ったTSAは、これに偽造できない時刻情報をくっつけたタイムスタンプトークンを発行して、利用者に送付します。こうすることで、この時間に確かに原本が存在したという証明になります。利用者は、それを原本と一緒に保存しておきます。

検証

タイムスタンプが発行されたら、本当に改ざんが行われていないかを検証しなくてはいけません。手元にあるハッシュ値とTSAから発行されたハッシュ値を照らし合わせ、合致すればデータの改ざんが行われていないと証明できるのです。

ハッシュ値は、ランダムに生成されて暗号のようになっています。それゆえ、たとえハッシュ値が分かっても元のデータまでたどり着くのは不可能です。もし原本の文字が1文字でも書き換えられた場合、タイムスタンプのハッシュ値と異なってしまうので文書の改ざんが発覚するという仕組みです。

タイムスタンプの利用方法

実際に活用するためには、まず時刻認証業務認定事業者(TSA)との契約が必要となります。契約にどれだけの費用が発生するかは、事業者によって違います。会員登録に1万円前後ほどかかる業者もあれば、システム導入費用として数十万円程度かかる業者もあります。会員登録には費用がかからなくても、その分ランニングコストが高めに設定されているところもあります。

ランニングコストには、月に何度利用しても料金が変わらない定額制を採用している業者と、1回の利用ごとに料金が決まっている従量制を採用している業者があります。費用と自社のニーズが見合っているかを照らし合わせて事業者を選ぶようにしましょう。

次に、タイムスタンプの付与が可能な会計システムを導入します。新しくシステムを導入する場合はコストがかかりますが、すでにある会計システムにタイムスタンプ付与機能がある場合は、利用料にタイムスタンプの利用料も含まれているため追加費用は発生しません。現在自社で利用している会計システムに機能が付いているかどうかを確認してから、導入を検討するとよいでしょう。これらの準備ができたら、TSAにタイムスタンプ発行の要求をする作業に入ります。

まずは、電子データで保存したい原本をスキャンまたは撮影してください。スマートフォンやデジタルカメラで原本を撮影してスキャンすることも可能ですが、その際の解像度は25.4mmあたり200ドット以上でなければならないという要件があります。また、A4サイズの紙の解像度は約387万画素以上が必要です。

まとめ

経理の現場では、ますます文書のデータ化が進むでしょう。紙の書類とは違い、電子データで保存された文書は複製や改ざんが簡単にできてしまいます。この点からいっても、データの原本性が保証できるタイムスタンプの重要性が分かるのではないでしょうか。2022年の法改正により、電子帳簿保存法に対応した会計ソフトやクラウドサービスを利用した場合は、タイムスタンプが不要になりました。しかしながら、まだまだタイムスタンプは重要なので、この記事を参考に仕組みや利用方法を押さえてみてはいかがでしょうか。

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